(書評)一流の記憶術
少しでも天才に近づきたくてこちらの本を読みました。
六波羅穣(著)←読み方むずい(ろくはら じょう)
2017/01/13発売
今はKindle Unlimitedに登録していると無料ʕ•̫͡•ʔ
目次です
▼どんな本?
自分記憶力がないんです...とお悩みの方へ(大抵の方がそうだと思うんですが)、記憶のメカニズムや記憶力の上げ方、また明日から使える記憶法を紹介するという本です。
この内容が¥99 (Kindle Unlimitedなら¥0)であればめちゃくちゃコスパいいんじゃないでしょうか。
本の冒頭で紹介がされるのですが、まず「世界記憶力選手権」というものがありまして、これはトランプの並び順やランダムな数字の羅列などを短時間で暗記するという、記憶力の良さを競う大会です。
※ちなみに私はこれオドぜひで知りました。プロの実力を刮目せよ!
私はてっきり「いや記憶力なんて才能でしょ、はいはいこの話終わり」と思っていましたがそうじゃない。
記憶のプロ達の中には決して恵まれた知能や学力を持たず、不遇の学生時代を過ごした人も多くいるそうです。
記憶とは努力と訓練、さらには本の中で紹介されるような方法論を知っているかどうかだったのです。
記憶に関するいくつかの原則をおさえ、長い歴史の中で生み出されてきた記憶術に習熟すれば良いのです。
この本に書いてあることを片っ端からマスターすれば、少なくとも一般生活の中では周囲から崇められる記憶の神に君臨できるんじゃないかと思います。
もちろん学校や資格の勉強、日常生活にもどしどし応用可能な方法もあります
私は読んだばかりですが、いくつか実践してみようと思います。
勉強欲みたいなものを高めてくれる本でもありますねʕ•̫͡•ʔ
本書の構成はこのようになっています。
- 1章_記憶のメカニズム...人が記憶する仕組み
- 2章_記憶の原則...効率的な記憶のために守るべきルール
- 3章_記憶術
ここに載っている記憶術に習熟すれば、あなたは驚異的な記憶力を得ることができます。数日もあれば、トランプ1組を覚えられるようになるでしょう。試験の勉強も、人の半分の時間で済むようになるでしょう。
▼「記憶」とは何か
記憶というと「単に覚えること」を連想する人が多いですがそれは正確じゃない。
正しくは次の3つの過程を全てまとめて記憶といいます。
- 記銘(符号化)...情報を頭に取り込むこと。=「覚える」
- 保持(貯蔵)...情報を一定時間頭に保つこと。
- 想起(検索)...保持された情報を取り出すこと。=「思い出す」
この中で最も軽視され、練習を怠りがちなのは3の想起でしょう。
覚える練習ばっかりやって、思い出す練習をしないという。
確かに身に覚えが...
本の中には「そもそも想起のコツを学び練習を繰り返し行うことで、大抵の記憶に関する問題は解決します。」と書いてあります。
▼記憶の三段階モデルとエビングハウスの忘却曲線
外部の情報は次の三段階を経て脳に長期記憶として保持される。
- 感覚記憶
- 短期記憶
- 長期記憶
覚えておきたい対象を長期記憶に持っていくのが目的なわけです。
そこでエビングハウスの忘却曲線というものの存在を意識する必要が出てきます。
こちらの記事がわかりやすいです。脳に入った情報が時間の経過と共にどの程度忘れられていくかということです。
結論を言うと、覚えたい情報に関しては、
想起練習を繰り返し、空白期間を設け1週間後にも想起出来るようになることが重要
ということです。
一週間後にも想起できた情報の定着率(長期記憶となる確率)は77%です。
まず初めの目安として一週間。そこで想起できた情報は約8割が長期記憶に行きます。
▼想起練習の方法
さて、いざ想起練習をしてみましょう。
やり方をシンプルに言うと、
記憶対象を見ずに繰り返し思い出す
これだけʕ•̫͡•ʔ
上述の忘却曲線を参考に徐々に想起する期間を伸ばしていき、1週間後も思い出せればひとまず合格
正しい想起練習を行うにあたってのポイントはこちら。
- 記憶対象そのもの(ノートや参考書など)を見てはいけない。
- 一定時間を空けてから想起する
短期記憶に対象が残っている状態で想起しても無意味。短期記憶から抜けた時に想起をする。
これが記憶に関する最も効率的な正しい努力です。
間隔を空けても想起できれば少しだけ間隔を伸ばす。目下の目標は1週間です。
地味な作業ですが、これをきちんと意識し実践出来れば後述の記憶術は必要ないとすら言えるらしいʕ•̫͡•ʔ
0の状態から想起するのではなく、問題文に出てくるであろう単語やフックとなる知識から記憶対象を想起するのがコツです。
ちょうど、キーワードからgoogle検索をするようなものですね。
▼記憶法
ではここで、本書で書かれていた記憶術を羅列。
記憶術は大別すると以下の4つに分けられます。
- 関係法...記憶対象を、仲介役となる情報と関係付けて覚える方法。関連付けにくい手がかりと記憶対象を結びつける。
例:イタリアの都市ローマの位置を覚えたい。
この時、仲介役として「ブーツのスネ」と想起できるようになる。
※イタリアといえばブーツの形に似ており、ローマはちょうどスネの位置。
ローマ→ブーツのスネ(仲介役)→実際の位置を想起しやすくなる
- 一連法...情報をひとつづきに並べて覚える方法。
- 変換記憶術...数字列や文字列を何らかのイメージに変換して覚える方法。
- ペグ法...多数のペグ(情報をひっかけるアイテム)を頭の中に用意し、そこに対象を対象をひもづけて覚える方法。
それでは細かいメソッドです。上から習得しやすい順です。
関係法その1:語呂合わせ法
語呂合わせを仲介役とする方法。こちらは誰しも経験がありますよね。
例:英単語「Kennel」の意味を覚えたい。(意味:犬小屋)
→「ケン(犬)がネル(寝る)場所」、それがKennnel。(ダジャレか...?)
関係法その2:頭文字法
記憶対象の頭文字を繋げて語句を作り、それを想起対象の仲介役とする方法。
これも経験ありますよね。
例:太陽系の惑星を覚えたい。
→「水金地火木土天海」
まとめて覚えられる利点があるものの、デメリットとしてそれぞれの想起対象を思い出しにくい。(天→天王星を想起できないといけない)
一連法その1:音楽活用法
一連の情報を音楽に乗せて覚える方法。情報の連続性と共に、リズムや音程なども手がかりとなります。語呂合わせ法や頭文字法などとも組み合わせられそうですねʕ•̫͡•ʔ
例:これとか良いです。へいー↓せいっっ⤴︎
一連法その2:物語法
複数の情報をつなげる物語を作ることで覚える。
一見めんどくさそうですが、著者が特に習得をお勧めしている方法の一つです。
記憶対象の数が5~20個の場合にはこちらを使うべきとのこと。
コツとしてはインパクトのある物語にすることと、情景を思い浮かべながら覚えることです。
例:「犬、トイレ、すき屋、ウルトラマン、フェラーリ」を順番に覚えたい。
ペットの犬と散歩をしていると、無性にトイレに行きたくなった。
トイレがなかなか見つからないが、すき家を見つけたので慌てて中に入った。
すき家で用を足した直後、ウルトラマンの着ぐるみを着た人が入店。
ウルトラマンは牛丼を食べた後、店の前に止めたフェラーリで去った。
一連法その3:連想結合法
記憶対象となる一連の情報A,B,C,...を、A→B,B→Cと順番に想起できるようにすることで順に覚える方法。
物語法と似ています。デメリットとしては、途中を忘れるとそれ以降も思い出せなくなるという点。あと前提としてAはまず想起できるようにならないとですね。
例:国別の人口ランキングを上位から覚えたい。
1.中国のチューインガム(中、印)食べたいなあ。からインド
2.インドカレーには米が不可欠。からアメリカ
...まあ適当に作ってみましたがこんな感じです。ネッシーの首。。
てか調べてみて驚いたんですがパキスタンつよい。
あとインドの総人口が中国を抜くのはもはや秒読みですねʕ•̫͡•ʔ
変換記憶術その1:数字形システム・数韻システム
数字に対応したイメージを頭に叩き込む方法です。
数字形システムの場合は数字の形から(0:ボール、1:鉛筆、...)
数韻システムの場合は数字を読んだ時の音から(0:チェロ、1:基地、...)
とにかく0〜9までの数字を何かのイメージとして頭に想起できるようにし、逆にイメージから数字を想起できるように訓練します。
はい、これでこのシステムは使えるようになりました。
ただ残念ながらこの方法は使えません。てか普通に考えて二度手間じゃね?
※イメージを活用することで記憶しやすくなる効果はあるとは思う
そこで、上記のシステムを発展させたのが次の方法です。
次は習得すればめちゃくちゃ使えますよ。
変換記憶術その2:数字イメージ変換システム
こちらは2桁の数字のペアを1つのイメージに変換させて覚えておく方法です。
00~99までを事前に覚えておかないとなので準備がめちゃ大変ですが、プロはみんなやっている超強力な方法です。
これができると、あらゆる数字列の記憶効率が2倍以上に上がります。
だって10桁の数字だったら5つのイメージの記憶だけで良くなりますよね。
しかもイメージ同士をつなげるような物語法や一連法などと組み合わせることも可能なので、短時間で大量の数字を覚えることが可能となります。怖い。
徐々に「記憶は才能でなく努力」という意味がわかってきましたよねʕ•̫͡•ʔ
数字をどのようなイメージに変換するかは自由ですが、ある程度アルファベットや平仮名の規則通りに変換するのが基本です。
例:こちらのサイト
ペグ法その1:身体部位法
それではペグ法に移ります。
まず最初に、ペグ法とは簡単に言うと「ペグ」という記憶対象を引っ掛けるキーワードの場を用意しておき、それぞれに記憶対象を紐付けて覚えるという方法です。
本来ペグというのは、服などを壁に引っ掛けるために刺さっている釘のことです。
ペグ法もプロが用いる最強の記憶術の一つで、そのメリットとしてはペグを無限に用意できること。部分的に忘れたとしても他のペグには影響しないなどがあります。
身体部位法とは、身体の部位をペグとして用いる方法です。
身体の部位とは「髪の毛、おでこ、目、鼻、口、首、かた、肘、手、胸、腹、尻、膝、かかと」などです。
個数に合わせてアレンジ可能ですが、基本的にペグの順番や配置などは固定すべきだと思います。混乱を避けるため、自分が身体部位法を使う時のペグはこれ!というものは決めとこう。
あとはこのペグごとに記憶対象を紐付けていくだけです。
紐付け方は自由。物語法を使うも良し、関係法を使うも良しです。
コツとしては、五感を豊かに活用するということです。
例:買い物リスト「卵、牛肉、レモン、人参、チーズ」を覚えたい。
5つなので、上位の例で「髪、おでこ、目、鼻、口」までを使用します。
髪→卵:髪に卵がベタベタについちゃって気持ち悪い
おでこ:おでこに湿布がわりに牛肉貼ろうっと♪
目→レモン:目にレモン汁を搾って垂らされました。めっちゃ染みる
鼻→人参:鼻の穴に人参を突っ込んだ。痛いし臭い。
口→チーズ:クチーズ。チーズを食べた。めっちゃ美味しい。
ペグ法その2:イメージ式ペグ法
身体部位法の応用として、ペグを自分で用意する方法です。
まとまった情報ならなんでもペグにできます。
コツとしては、順番通りに思い出しやすいものをペグにするということです。
例:0~9の数字、50音やアルファベット(数字イメージ変換法で覚えたイメージも活用できる)、都道府県や国名、好きなアーティストの曲。などなど
ペグ法その3:場所法
自宅の中や通勤ルートなど場所を思い浮かべ、そこに記憶対象を配置していく方法。
こちらも著者が特に習得をお勧めしている方法です。
場所は架空の場所でももちろんOK。自分が正確にイメージできることが重要です。
ペグ自体を忘れてしまってはいけないので。
そんなに細かく場所を覚えていないよう...という方は、例えば通勤ルートを次に歩いた時に、よく目についているポイントをメモしてみましょう。
無意識ながらいつも目にしているポイントがあるはずです。
それが、そのルートのペグとなるポイントです。
例:家の玄関→マンションのエレベーター→バス停のベンチ→ファミマ→古いカフェ→ボロボロの看板→綺麗な店員がいるマツキヨ→地下鉄に降りる階段→...
...適当に書いてみましたが、できれば店名などは固有名詞の方が良いですよね。
自分の部屋の中を場所として小物や家具の配置をペグにしたりもできますし、ディズニーランドが好きな方は各アトラクションをペグにしたりも良いかもʕ•̫͡•ʔ
このようにペグをほぼ無限に増やすことができるというのが強力なポイントです。
▼記憶術の活用法
前提として、たいていの記憶には上述の記憶術は必要なく、
想起練習をマスターすることで基本的には対応可能です。
また記憶術を使うにしてもその中で想起練習は必須なので、まず励むべきはこれです。
記憶術はどうしても覚えにくい情報を記憶するときや、複数の情報を同時に記憶する必要があるときなどに場面に応じて補助的に活用するのが良いとのこと。
中でも著書がお勧めする、是非とも習得すべき最強の記憶術は次の3つ。
- 頭文字法
- 物語法
- 場所法
それぞれさらに詳しく知りたい方はググって見るとたくさん出てきますのでぜひ。
場所法なんか、もはやそれ一冊で本が出てました。
(これもUnlimitedで読めるなあ)
ということでこの記事を読んだ皆さんは
私と共に最強の記憶力を手に入れて天才になりましょうʕ•̫͡•ʔ