(書評)その悩み 哲学者がすでに答えを出しています
女性に悪口を言われプチ病みしていたので救いを求めてこちらを読んで見ました。
小林昌平(著)
2018/4/27発売
単行本だと¥1705(2022/5現在)
今はKindle Unlimitedに登録していると無料ʕ•̫͡•ʔ
目次
▼どんな本?面白かった?
結論から話すと読んで良かった。凄く面白かったです。
本の内容は、現代人の抱えるありふれた悩みに対しアリストテレスやブッダなど偉大な哲学家の方々が解決策をバチバチに教えてくれるという内容です。
解決策というのは、悩みをポジティブに捉え直してくれたり具体的な対策や行動を提示してくれたりなど。
どうしてこういうことが出来るのかというと、人の悩みはいつの時代も共通だからです。その哲学者の考えや書いた本から、著者の小林さんがその悩みに対する答えという形で簡潔にまとめているという感じですね。
例えば「将来食べていけるか不安」という悩みに対しては、古代ギリシャからアリストテレス先生が、「死ぬのが怖い」はソクラテス先生が、「毎日が楽しくない」は日本から道元という仏教界の大先生(初めて知りました)が教えを説いてくれます。
悩み毎に次々と偉人が登場するのですが、それぞれ最初に偉人の経歴や業績の紹介もしてくれるので、私のような哲学初心者が哲学に興味を持つきっかけとしてはとても良い本だと思います。デカルトの経歴とか半端ないやんってびっくりしましたʕ•̫͡•ʔ
一方で一つ一つのパートはどうしても薄くなるので、哲学に詳しい人からすると少し物足りなさはあるのかも。あとこれ読んで悩みがスッキリなくなりますってほど悪魔的なものではなく、たいていはなるほどな〜くらいの感じでたまに自分にとって刺さるものがあったり、興味を持った哲学者について深く調べてみたりとかそういう知識欲のフック的な本だなって感じです。
▼解決してくれた悩み(一例)
解決してくれる悩みはたくさんあり、以下の6つに大きく分類されています。
- 仕事
- 自意識・劣等感
- 人間関係
- 恋愛・結婚
- 人生
- 死・病気
中でも個人的に刺さったのは「やりたいことはあるが行動に移す勇気がない」という悩みの章。解決してくれるのはデカルトこと我思う故に我ありマン。数学者でもあり、演繹法やx,y軸の直交座標を発明した偉人です。ちなみに直交座標(a.k.aデカルト座標)は天井のハエを見ながらボートしている時に発想が浮かんだらしいʕ•̫͡•ʔ
ネタバレするとこれに対する答えとしては「困難を分割せよ」というものですが、まずデカルトの経歴として、当時存在した学問を全て制覇(入手可能な本は全て読破)した後に本を全部捨てて「よっしゃ自分で全部の学問を一から構築したろ」とフィールドワークの旅に出ました。どんなスケールやねん...という行動ですが、この難しすぎる問題に対峙する中で、
私が取り組む難しい問題のそれぞれを、出来る限り多くの、しかもそれを最も上手く解くために要求されるだけの数の小さなパーツに分割する
と悟りました。
困難は対処可能な小さな単位に落とし込むことで乗り越えられるということですね。
「大目標を小目標に分割する」ということですが、例えばこの時にチクセントミハイが提唱したフロー体験を組み合わせてみると、この小目標を達成可能ギリギリレベルに調整することで没入感を高め自分の人生の幸福度を最大化できると言えると思います。
※チクセントミハイ先生もこの本の中に悩みの解決者として出てきます。悩みは「他人と比べて落ち込んでしまう」。フロー体験(a.k.aゾーン)についても解説があります。
▼その他ためになったこと
- 脳科学の見地から、ジムで体を鍛えるように瞑想で心を鍛えることも可能
- 認知科学者が考案した眠れない夜の必殺技「認知シャッフル」(マジで効く)
- 人には、不安や緊張などの感情にのめり込みエスカレートさせてしまう心の癖がある
- 人生を向上させたい人にとって、不安で頭がいっぱいなことはデフォルト状態。それことが明日の繁栄の糧になる。
- 人間は利益については確実な選択肢を、損失についてはリスクを取る選択肢を選ぶ傾向がある。(プロスペクト理論)
- 自分で物事を選択したとき、その決断に後の人生が囚われてしまう傾向がある(サンクコスト)
- 哲学(哲学者)って面白いなあʕ•̫͡•ʔ(重要)
参考文献に関しても、哲学書や論文はもちろんブログ、映画、TED、NHKの放送、果てはNAVERまとめなんてのもあり面白かったですʕ•̫͡•ʔ